万が一の備えもしつつ貯蓄もできて一石二鳥!
といわれる貯蓄型保険。
保険営業マン:「貯蓄型保険は入っておけば絶対に損しないですよ。」
自分:「人気はあるみたいだけど、本当にそんなうまい話があるのかな?」
保険屋さんの売り文句に少しでも疑問を持っている方へ向けて、
この記事では「貯蓄型保険は不要であると考える理由」について解説します。
結論:貯蓄型保険はやめてiDeCoやNISAを利用する方が高確率で得
貯蓄型保険の満期返戻金が課税対象であることはご存じでしょうか?
貯蓄型保険に加入するからには満期返戻金の受取が一つの目的となりますが、
満期返戻金の受取に課税されることはご存じでしょうか?
積立型保険における満期返戻金、契約者配当金(契約者と満期返戻金などの受取人が同一である場合)は、原則として、一時所得として扱われ、他の一時所得と合算して課税額が計算されます。
なお、契約者と満期返戻金などの受取人が異なる場合には贈与税が課されます。
一時所得の金額は、他の一時所得が無い場合には、次の計算式により求められます
(所得税法第34条)。
一時所得金額={(満期返戻金-これまで支払った保険料)-特別控除額}×1/2
*特別控除額は最高50万円(所得を限度)です。
ただし、次の3つの要件すべてに該当する場合、源泉分離課税の対象になります。
他の所得と区分して 源泉分離課税 20%(国税15%、地方税5%)が差し引かれます。
・保険料の支払方法が一時払いの場合
・保険期間が5年以下の場合(保険期間が5年超で5年以内に解除(解約)したものを含む。)
・保険金額が満期返戻金の5倍に満たない場合
以上から、基本的に満期払戻金を受け取ることになる場合、ほとんどの場合は元本割れすることになります。
しかし、課税知識については知っていて当たり前の事実とされることから、そこまでの説明がされているかどうかは不明です。
次に、2019年に人気だった貯蓄性保険で比べてみました。
バランスの良い人気のA社の場合
「低解約返戻金型」の保険で、払込期間が満了すると100~120%の返戻率で戻ってきます。
ただ、払込満了前に解約すると返戻率が60%程度まで下がってしまいます。
最高の払戻率を出す条件はこちらになります。
- 契約者の年齢 18歳
- 保険金額 5,000万円
- 払込期間 52年
- 払込月額 61,500円
→52年間払い続けるのは、経済的にかなり厳しい条件です。
モデルケースとしてよく取り上げられる、「保険金額を500万円・20歳加入・40歳払込完了」だと、返戻率は105.5%となります。
保証内容:
- 障害・死亡保障:あり200~5,000万円の間で選択可能
- 医療保障:なし
- 特約:A社独自の特約あり
貯蓄メインの人気B社の場合
- 保険料の払込は5年
- 満期は10年
- いつ解約しても元本割れしない
- 満期まで持っておけば返戻率103%
契約から5年までは解約返戻率が100%で、それから10年の満期時までは少しずつ返戻率が上がっていき、最終的に103.0%になります。
保障内容:
- 死亡・障害時の保障:払済の保険料全額 (※災害死亡時は上記の1.1倍)
- 医療保障:なし
- 特約:なし
医療保障がメインの人気C社の場合
終身タイプの医療保障がメインとして付いていますが、もし保険を使わなかった(死亡や医療保障の給付金が出なかった)場合、掛金の95~99%が戻ってくるという特徴があります。
保障内容:
- 死亡・障害時保障:なし
- 医療保障:あり
- 入院:5千~1万円/日
- 手術:2.5~10万円/回
- 先進医療:累計2,000万円
- 付けられる特約:あり、通院、三大疾病による入院日数が無制限になる
A社からC社の比較の中で
入院1日あたり何円支給という売り文句がありますが、
今は病院側の都合によって入院期間の短期化が進められており、
想定よりも不利に働くことが多くなっています。
看護師の妻によると、日帰り手術も増えているそうです。
学資保険の場合
18年寝かせて返戻率が107%くらい
養老保険の場合
40年寝かせて返戻率112%くらい
iDeCo・NISAに加入した場合はどうか
下図はiDeCo・NISAに20代後半から60歳まで加入した場合のシュミレーションになります。
条件は以下になります。
・利回りは年率5%運用を想定(かなり慎重な想定です。)
・S&P500連動型投資信託を選択(参考までに過去30年の利回りは年率10%)
・月々の拠出額はiDeCo: 24,000円。(会社員の満額)
NISA:月々33,333円(非課税枠の満額)
・分配金は自動再投資を指定。

図のように、NISA枠は60歳時点で約3,000万円。
iDeCoに拠出した分は60歳時点で約2300万円まで膨らみます。
NISAは非課税枠が設けられているため、非課税枠で儲けたぶんについては運用益が非課税となります。
iDeCoはご存じの通り、掛金が全額所得控除の対象になるほか、運用益も全額非課税です。
iDeCoは給付時には税金がかかる場合があります。
- 給付を年金として分割して受取る場合は「雑所得」として取り扱われる。
- 一時金として一括で受取る場合は「退職所得」として取り扱われます。
→有利な方を選択することができ、税制上かなり有利な設定となっています。
また、NISAの運用で膨らんだお金は引き出さずにそのまま運用を続けることも可能です。
保険営業の方は、有利な情報をあるきまった角度から提示し続けて不安を煽ってきますが、
人生100年時代と言われる現代において、60歳までに保障対象となる死亡・障害・三大疾病に
かかる確率はそもそもかなり低いです。
これは厚生労働省の統計を見ればわかります。
また、資産増加速度シュミレーションの通り、仮に万が一のことがあったとしても、
iDeCoとNISAで得られる運用益は貯蓄型保険への加入で得られる保障額を超えるほどの勢いで資産が増加することとなります。
保険の仕組みは営利組織によるビジネスで回っており、iDeCoとNISAは国の政策によって進められていることを考えれば当然の結論ではありますが。
以上、ご参考までに。